業務系のシステム開発が、外部のITベンダーに設計から開発のリソースまでを委ねる割合が高いことに対し、組込みシステムを開発するメーカーは、社内やグループに多くの技術者を擁し、不足している部分のリソースを外部のソフト開発会社に委託して補うという構図になっている。一方で、開発規模の大型化によってリソースを供給する外部の下請の協力会社に対する依存度は高まっており、その受け皿として多くの独立系組込みソフトハウスが活躍している。こうした構造のため、現在のような不況が訪れると案件が抑えられ、系列のソフト開発会社には仕事が割り振られるが、下請の受託ソフト開発会社に対しては仕事が流れなくなる。 携帯電話市場の縮小が打撃 独立系のソフト開発会社で組込みソフト開発の売上高が業界トップの富士ソフトも、以前は受託一本で順調に売上を伸ばしてきた。ところが、主力であった携帯電話の市場縮小とともに、2年前から受託ソフト開発の売上が落ち、同社の組込みソフト開発の売上高は、一昨年の512億円をピークに、昨年度が491億円、今年度の見込みは481億円と苦戦を強いられている。 ただしこの状況はあらかじめ想定しており、同社は自動車関連のJasparやAUTOSER、オープンソースのリアルタイムOSを開発するTOPPERSプロジェクトといった業界団体へのコミットメントを活発化して標準化技術の収集に努めるとともに、3年前よりプロダクト化・サービス化を進め、デジタル家電分野や携帯電話などのミドルウェアやLinux開発サービスなどを開発し、受託開発の高度化を図っている。 その際に、複数のチップベンダーや商社、デザインハウスと協業し、「協業相手の特化した力と、我々の開発力および業務ノウハウを組み合せる」(常務取締役・システム事業本部今城浩一本部長)という戦略をとることで、短期間に数多くの製品をラインアップした。 さらに、今後の展開を占う試金石となるのが、任天堂の「Wii」向けの映像再生ソフト「みんなのシアターWii」だ。デジタルテレビ向けソフトウェア開発技術をゲームソフトに応用したもので、ソフトのダウンロード販売に加えてアニメや映画の動画配信も同社が行い、12月よりコンシューマー向けのサービス提供事業という新しい分野に進出した。 このほかに、主力の受託ソフト開発に関しては、独立系ソフトベンダーとして、幅広い要求に応えてきた歴史のなかで獲得してきた多くのチャネルを活かす考えだ。同社は、「移動体、通信、OA機器、産業機器・ロボット、自動車、家電と幅広い業種に対応できる」という。「組込み開発にはハードとソフト、さらに業務の知識が必要。各分野の動向がわかり、基本的な教育ができることが強みになる」と自信をうかがわせる。 さらに、「携帯電話に関しても、技術的に元をただせば電話の基地局通信や映像技術の延長上にあるもの。ニーズが減っても今後車載向けの開発などに技術を適用できる」とし、この難局を今後の道筋を固める端境期と割り切って考えられる「体力」も強みとしている。 2009年景気、70.5%が「悪化」局面を予想〜5割超が「米国経済」「金融市場」を懸念、「減税」を求める声は約4割〜 【調査の背景】 2008年11月17日に発表された7〜9月期の実質GDP成長率は前期比0.1%減と2期連続のマイナスとなるなか、政府は「景気は弱まっている」との判断のもとで、景気を下支えする経済対策を公表した。また、景気DIはこれまで景気を牽引してきた都市圏を中心として悪化傾向が続いている。 そこで、2008年の景気動向および2009年の景気見通しに対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2008年11月18日〜30日。調査対象は全国2万655社で、有効回答企業数は1万602社(回答率51.3%)。 2008年、9割近くが景気は「悪化」局面にあったと判断 まず、2008年の景気動向について尋ねたところ、「悪化」局面であったと回答した企業は1万602社中9,103社、構成比85.9%で最多となり、2007年の景気動向(2007年11月調査)より54.1ポイント増加した。2008年見通し(同調査)との比較でもほぼ倍増になっており、2008年の景気が予想以上に急激に悪化したことを示している。また、「踊り場」局面とした企業は同8.3%(875社)となった。一方、「回復」局面とした企業は同0.1%(14社)にとどまり、2007年から4.3ポイント減少した。 政府は景気後退入りを認めているものの、2008年景気について企業の間では全体として「悪化」局面にあったとの判断が9割近くを占めるとともに、「回復」「踊り場」局面と考える企業は合計で1割未満へと減少し、企業の景気認識が大幅に悪化した1年となった。 企業からは、「すでに悪化が続いていたが、それが全業界に広がり悪化速度が増している」(洋品雑貨小売、京都府)といった意見のほか、「9月のリーマン・ショック以降急激に状況が悪化した」(広告代理、東京都)や「米国経済の悪化が日本経済に与える影響が想像以上に大きかった」(受託開発ソフトウェア、北海道)など9月の米リーマン・ブラザーズ破綻を契機とした金融危機が実体経済に波及していることを指摘する声も挙がった。また、「グローバル金融市場でバブルが発生、崩壊したことは、市場経済では避けられない現象だが、それにもある種のルールが必要」(建設、神奈川県)といった、国際金融市場のルール整備を求める意見も聞かれた。 2009年の景気見通しは7割超が「悪化」と回答、景気後退は続くと見込む 2009年の景気見通しについては「悪化」局面を見込む企業が同70.5%(7,472社)となり、2008年の景気から15.4ポイント減少している。また、2009年の景気を「踊り場」局面と予想する企業は2008年より5.9ポイント高い同14.2%(1,510社)、「回復」局面は同1.6%(166社)となった。2009年は2008年に引き続き、厳しい経済状況を見込む企業が多い。 具体的には、「悪化局面がいつまで、どのくらい落ち込むか見当がつかない」(電子計算機等製造、大阪府)や「アメリカの影響が広範囲すぎてよく分からない」(娯楽用具・玩具製造、東京都)など先行き不透明感を指摘する声が多く挙がった。一方で、「エネルギー、水処理、環境などの独自技術を世界に認めてもらうチャンス」(ビルメンテナンス、広島県)といった意見も聞かれ、ピンチの時にこそチャンスに変える機会と考えている企業も多い。しかし、「教育、医療、治安、年金、雇用など将来不安を払拭させる政策を打ち出し実行することが、遠いようで一番の近道」(化学品卸売、北海道)のように将来を見据えた抜本的な対策が重要であろう。 2009年の景気見通しを規模別でみると「回復」の割合は『大企業』(同1.4%)と『中小企業』(同1.6%)で大きな差がみられない一方、「悪化」の割合は『中小企業』(同71.9%)が『大企業』(同65.4%)よりも6.5ポイント高かった。また、業界別ではほとんどの業界で「悪化」の割合が6割超となっており、なかでも『卸売』(同73.1%)、『不動産』(同71.9%)、『建設』(同71.2%)、『運輸・倉庫』(同70.9%)で高く、いずれも7割を超えている。地域別では自動車関連を中心に景況感が大幅に悪化している『東海』(同73.7%)をはじめ、『中国』(同72.8%)や『北陸』(同72.4%)、『近畿』(同71.3%)、『北関東』(同70.6%)、『九州』(同70.3%)で、「悪化」局面と見込む企業が7割超を占める結果となった。 2009年景気への懸念材料、54.2%が「アメリカ経済」の動向と回答 2009年の景気に悪影響を及ぼす材料として最も多かったのは「アメリカ経済」で、全体の54.2%(5,743社、3つまでの複数回答、以下同)を占め、5割以上の企業が懸念を抱いている。次いで、「株価(下落)」(同52.9%、5,604社)、「金融市場の混乱」(同52.3%、5,541社)が半数を超えており、サブプライム問題に端を発した金融危機の影響が2009年の景気にも大きな悪影響を及ぼすと考えている様子がうかがえる。また、2007年調査で92.4%の企業が翌年の景気の懸念材料として挙げていた「原油・素材価格(の上昇)」は、同21.1%(2,236社)へと減少した。 企業からは、「外需頼みの構造転換が急務」(産業資材卸売、愛知県)や「金融危機が一段落し、米国の消費に改善の兆しが見られれば回復可能」(配管工事付属品製造、宮城県)など金融危機の深刻さが増す海外経済、特にアメリカ経済の動向で左右されると見ている企業が多い。また、「政治の混乱、円高、株価下落等の問題が一気に到来する」(飲食料品卸売、栃木県)や「行財政改革の後退が一層弊害として日本経済を停滞させる」(労働者派遣、栃木県)といった意見がみられたほか、「改正建築士法の施行(2009年5月)に伴う混乱によりさらに計画・着工等の設計現場が停滞する」(建設、滋賀県)ことを懸念する声も聞かれた。